2024年1月26日(金)の講座
演題 「遺品整理で悩んでいませんか? 知っていると役立つ知識」
肩書 遺品整理士、(株)ティ・ピィ・エスサービス統括部長
講師 中川 純様
本日の講座は、「遺品整理」をテーマに講師の中川さんにお話いただきました。
今回は「遺品整理」とはどんなものか?自分でやる場合と業者にお任せる場合の比較をしていたただき、故人の思い出を大切にする遺品整理について教えていただきました。
中川さんは仙台市内のビルメンテナンスや管理を行う会社でお仕事をしています。
なぜ遺品整理士の資格を取得したかというと、お取引がある葬祭会館を通して、亡くなった方の遺品整理をお願いされたことがきっかけでした。以前はそれほど年に数回と多くなかったものが、ここ数年は遺品整理を依頼される数が増えてきたので、専門的な知識を得るために勉強して資格を取得されました。
遺品整理とは、=「こころを整えること」、と中川さんが言っていました。家族の思い出の品を整理することは、悲しい思いをずっと引き続けるのではなく、家族が亡くなられたことを真摯に受け止め、現実的に前に進むことにつながります。
遺品整理の依頼が増えた理由としては、核家族化が大きな要因です。日本でもすでに単身または夫婦のみという家族構成が、全体の半分ほど占めているそうです。昔は3世帯同居など、年配の方も一緒に住んでいたものが、ライフスタイルの変化で遠方に離れてくらすケースが多くなりました。一緒に住んでいないので、急にお亡くなりになった場合に、どれを処分していいかわからないと悩む方や離れているので長期間滞在できないから早く処分したい、というニーズが高まり、遺品整理を業者に依頼するケースが増えてきたようです。
遺品整理は、自分達がする遺品整理(家族がなくなって)と子供たちに大変な思いをさせないためにする生前整理・終活(生きているうちに整理)に大きくわけられます。今回は家族が亡くなったときに自分達が行う遺品整理のお話でした。
「遺品整理」をするタイミングは、いつもまでという期限はありません。終活をして、エンディングノートや遺書を残された故人の思いに沿った整理ができればいつでもいいと思います、とのことでした。整理の時期に「正解」はありません。しかし、同居されていた家族や近くに住んでいる場合ならまだしも、遠く離れたところにお住まいの家族にとっては、時間の制限があります。
中川さんの経験談では、葬儀の時に同時進行で遺品整理をしたことがあったそうです。その他もカギを預かり、依頼者が不在の時に片付けたこともあったそうです。
というような事例があるように、遺品整理にかけられる時間は環境によって異なります。
同居している、1時間以内で行ける距離の方と、遠方から何時間もかけてくる場合では違いますし、住んでいる住宅が、戸建て、分譲マンション、アパートや賃貸マンションなどでも引き渡しがあるので時間の制約に違いがあります。遠距離にお住まいの方や賃貸物件に住んでいる方は特に時間的制約があります。
戸建てなどで空き家にしている方もいますが、昨年法改正があり、空き家に認定されるとこれまでと違い固定資産税の優遇が受けられなくなるそうです。なので遺品整理をしっかりとして、空き家の場合でも取り壊しなど対応することが必要です。
では自分でやるのと業者に依頼するのでは何が違うのか?
中川さん曰く、自分でやる場合は、法的な手続きや税理士相談するなど手間がかかるのと、他の相続対象の親族とのスケジュール調整が大変です。
そして何より家具などを処理場に運んだりと体力が必要となります。
一方で業者に頼む場合は、お金が高くなりますが、手間や時間、体力をかけなくても専門的な処理ができるので楽になります。もちろん、業者に依頼する場合でも不法投棄や高額請求など選択をちゃんとしないとトラブルの種となります。ご注意ください。では依頼する場合は、というと業者から見積もりをとります。見積もりは必ず複数の会社からとってください。値段やサービスを比較できます。
もちろん個人おり費用の負担は増えますが、時間や手間を考えて業者に依頼するケースは増えています。
また場合により、亡くなってから日がたっている物件は、特殊清掃など特別な手配が必要なるので自分でやれないものは素直に業者に依頼したほうがいいとお話を聞いて思いました。
遺品整理を業者にお願いした場合は、賃貸物件を出るときのクリーニングと一緒にやってもらうなど事前に確認して、余計なお金がかからないよう調整することも可能です。
見積もりを取る際と同時に、あらかじめ捨てるものと残すものをはっきりと意思決定をしておくことが大事になります。少しでもスムーズにいくように準備は必要ですね。処分するものが決まれば、すぐ引き取りにきてもらうように早く整理を終えることができます。
また複数の見積もりをとって業者を比較することも大切だということでした。
「正解」はないので、悩みますが、故人の思いを大切にする「遺品整理」ができればいいなと思いました。
中川さん、貴重なお話を教えていただきありがとうございました。