平成30年12月20日(木)の講座
演題『宇宙の果てへの招待 ~きれいな宇宙写真で観る最先端の宇宙科学とその成果~』
講師 東北大学・名誉教授 市川 隆 氏
今年の最後のタピ大は、「宇宙」をテーマに、壮大なお話を市川さんに披露いただきました。
みなさんは“宇宙の果て”をご覧になったことありますか?会場には、宇宙の秘密を知ろうという大勢のみなさんに集まっていただきました。
最初に、「宇宙」ってなんだろう、ということで、宇宙の成り立ちなど、説明いただきました。われわれの住んでいる「宇宙」(銀河系、太陽系など)が138億年前ほどに誕生して、いまだに成長を続けていること、われわれの住んでいる「宇宙」の外にも別な「宇宙」が存在している可能性が高いこと、ことなど教えていただき、宇宙の大きさや歴史、その壮大なスケールにただただびっくりでした。現在は131億光年ぐらいまで、観測できているそうで、今後誕生した138億年より外の宇宙も観測できるようになるだろう、とのことでした。お話だけでなく、観測された宇宙の写真やデータを見せていただくことで、頭の中で、イメージしやすく、理解することができました。
地球上ではいろんなところで、天体観測が行われていますが、より正確なデータをとるために、観測に適したところに大きな天文台を立てて、観測をされているそうです。市川さんから観測に適した条件を説明いただき、3箇所ほど、地球上で観測に理想の場所があり、そのなかでもハワイ島が一番いいと教えていただきました。そこには世界中の国が天文台(観測施設)をつくって、「宇宙」を観測しています。その様子を写真でみて、火山の頂上に聳え立つたくさんの建築物にびっくりしました。4千メートルという高さに、よく建築できたなということ、世界の国々がこんなにも競って、「宇宙」の観測をしていることに驚きました。
日本も国立天文台ハワイ観測所で「すばる望遠鏡」を使った観測を行っています。市川さんも学生と観測したときの様子を、写真をみせていただきながら教えていただきました。ずっと望遠鏡をのぞいているのかと思ったら、観測自体はコンピューターが制御し自動で計測しています。人間はそれがちゃんと行われているかチェックしていますが、普段はあまりすることがないようなリラックスした雰囲気で、みなさん過ごしているそうです。標高が高いので、あまり難しいことを考えて頭を使うと、頭がいたくなるので、普段はみんなで楽しくリラックスした会話で過ごしているそうです。
「すばる望遠鏡」で、よりよい観測をするために、市川さんのチームでも自分たちで撮影する機械をつくり、観測したそうです。なので、天文学を学ぶ人は、星を眺める、というロマンチックなものよりも、より理数系というか、モノづくりなど工学的な知識や技術が必要と教えていただきました。
ハワイ島には、これからさらに高性能の望遠鏡が、世界の国が結集して建築される予定で、さらに遠くまで観測できるようになるそうです。楽しみですね。
今回は、「すばる望遠鏡」で観測生活のお話やそこからわかったこと、最新の宇宙の情報など、時間が限りあるなかで、たくさんお話をしていただきました。その中でも圧巻だったのが、一般の方にも公開されている「宇宙」を細かく表現したシュミレーターのお話でした。実際に見せていただきましたが、地球から太陽系、銀河系を超えてどんどん宇宙の果てに向かって移動していきます。最初はひとつひとつの惑星がうつっていたのが、点が一つの銀河になり、それが無数に集まって宇宙が形成されていることが、これまで観測されたデータをもとに、本当に細かく映像としてみることができました。宇宙の大きさに、ただただびっくりするのと、映像がきれいで感動しました。
1時間の時間では語りつくせないお話でしたが、またお話を聞きたいという声をたくさんいただきました。時間いっぱい「宇宙」のお話と「宇宙の果て」につれていってくれた市川さん、ありがとうございました。