2018年5月29日(火)の講座
テーマ:元気なシニアになるための漢方講座
講 師:健康漢方研究所 管理薬剤師 義江則子さん
生薬由来で体に優しいイメージの反面、種類も多く高価で自分の症状にあった漢方薬を探すまでが大変そうにも思える漢方。今日の講座では、健康な毎日を送るために役立つ漢方の話を、健康漢方研究所管理薬剤師の義江則子さんに教えていただきました。
講座は、先生が用意してくださった漢方のお茶を試飲しながら始まりました。
「私たちがいつまでも元気でいるために大切なことは、筋力・呼吸力・嚥下力の3つ」と義江さん。筋力がなければ運動能力が低下、特に高齢者などは骨折するとそのまま寝たきりになることも。さらに生命に必要な呼吸、食べたものをきちんと飲み込む力は、元気の源といえます。さらに、この3つに加えて聴力・視力がしっかりしていれば、なお良いとのこと。
しかしどんなに元気であっても、加齢とともにさまざまな不調や症状が現れてしまいます。それらを改善したり補ったりするのに適しているのが、漢方だそうです。
「例えば、西洋薬の利尿剤は、体内の水分量に関わらず無理矢理おしっこを出すお薬です。一方漢方薬は、体内の水分量が多いときは尿を出し、逆に体内の水分量が足りないときは保水します」。漢方薬とは、症状が強く出ているところを鎮静し、逆に弱い部分は補い、体内のバランスをコントロールする働きがあるのだそうです。
めまいやふらつき、肌のかさつき、イライラしやすいなど、加齢とともに現れやすい症状にそれぞれ効く漢方薬を教えてもらいました。漢方薬は、1つの薬でさまざまな効能があるのも特徴。「葛根湯は風邪薬と思われていますが、実は肩こりにも効くんですよ」と義江さん。風邪薬だから風邪の時だけ飲むのではなく、効能に合わせてさまざまな症状に用いることができるといいます。
近年は、漢方由来で作られた抗マラリア薬の発見がノーベル賞を受賞するなど、漢方薬が世界的にも注目されています。「古くて新しいのが漢方」と義江さん。ピンポイントで病気を治すというよりは、体全体のバランスを取って調子を整える働きを持つ漢方。毎日の暮らしに上手に取り入れて、気分的にも元気に過ごしたいものです。