2017年7月20日(木)の講座
テーマ:夏のこわ〜い昔話
講 師:絵本の読み聞かせグループ「おはなしもこもこ」のみなさん
仙台の夏は他地域に比べて涼しいといわれますが、今年は梅雨がどこへいったことやら、毎日暑くてうんざりしますね。
今日の講座は、そんな夏の暑さを忘れさせてくれる1時間。
絵本の読み聞かせグループ「おはなしもこもこ」のみなさんが、国内外に伝わる7つのこわ〜いお話を、絵本や紙しばいなど、趣向を凝らした演出で披露してくださいました。
照明を落としたほの暗い会場に、静かに響く語り手の声。言葉が紡ぎ出すちょっぴり怖い世界が脳内に入り込み、想像力がかき立てられます。
人間の欲深さが招く悲しみ、自分のことだけを考えて他人を思いやれない心が巻き起こす不幸。取り返しのつかない事態になって初めて後悔しても、時すでに遅し…。ホラー映画のような血みどろの怖さとは違う、人間の本性の怖さを感じます。
イヤだキライだと感情的になって人を傷つけてしまったり、物事を損得で判断したり。お話を聞いていて、自分にも怪談の主人公たちと似た一面があるなぁと耳が痛くなる思いでした。
怖い話が続く中、ブレイクタイム。受講生全員で手遊びを楽しみました。
みんなで童心に返って、「せっせっせーのよいよいよい」でじゃんけんぽん!場内が笑い声で包まれました。
また、みんなで阪田寛夫さんの詩「お経」を唱和しました。一瞬お経のように聞こえる言葉も、よくよく聞くと「空腹〜帰宅〜晩ご飯〜…」。おもしろお経を読んだ後は、チーンという鈴の音に合わせて、合掌。雰囲気が明るくなったところで、再び怪談に戻りました。
後半に披露された「いるの いないの」は、数年前に刊行された京極夏彦さんの怪談絵本。話題を集めた本なので、京極ファンならずとも読んだことがある人も多いのではないでしょうか。薄暗い天井に何かが潜んでいそう…。誰しもが子どものころ経験したであろう「怖い物見たさ」の感覚がよみがえってきました。
今回は、大人向けのお話が多かったとのことですが、聴講した子どもたちも楽しめた様子。
昔話や怪談は、人としてどうあるべきかを優しく、時に厳しく諭してくれます。ただ怖いだけではない、怖さの奥に隠された人情を感じられるのも、怪談の魅力なのかもしれません。
蒸し暑い中での講座でしたが、涼を感じただけでなく、心の中がほっこり温かくなる一時間でした。