7月15日(金)の講座
演題 『18歳以上の笑い学入門―万葉集から震災川柳まで』
講師 日本笑い学会創設36人衆/東北大学名誉教授 長谷川啓三氏
本日は日本笑い学会東北支部所属の長谷川さんに、日本古典から現代の川柳で表現される“日本の笑い”について教えていただきました。
以前は東北には笑いがない、仙台には笑いの文化がないという言葉も聞かれました。日本笑い学会の創設メンバーでもある長谷川さんは、海外の方の前で日本の笑いの文化について講演されたこともあるそうです。その際に日本には笑いの文化がない、という意見も出たそうです。しかし、海外の方にもうけたものがありました。それが昔から語り継がれる男女の性についての笑い、“下ネタ”でした。
“下ネタ”というと下品な笑いというイメージを持たれると思います。笑い学会に参加するお笑い芸人の方も“下ネタ”で笑いをとるのは卑怯だと、避ける傾向があるそうです。しかし、性を扱うことは下品なものではなく、人間に必要な文化、重用なものではないかと、問題提起していただきました。古典や地域に残る芸能を研究して、もっと多くの方に笑ってもらう、女性の方でも気分を害さずに笑えることができるのでないかと研究の成果を紹介していただきました。改めて古い文献を紐解くことで、“日本の笑い“を学んでみました。
古くは万葉集で読まれている歌にも男女の色恋が表現されています。昔は感じを当て字で使い、おしゃれにユーモアがある笑いを行っていたようです。長谷川さんが歌を解説いただきました。
性を扱う「笑い」をどのように成立させるかという問題に、長谷川さんからいくつか解決策を提案いただきました。写真を使って表現して笑いにすること、きわどい歌詞も美しいメロディで包むことで、笑いに変えられること、ヌードを宗教画のように芸術的な枠組みで表現すること、最後はメタファーの例として、長谷川さんが自作された歌「ゆびきり」を披露していただき、様々な方法で“性”を「笑い」として昇華させる方法を紹介して解説いただきました。
「笑い」の文化はとても奥が深いこと、日本にも笑いの文化が昔から存在することなど教えていただき、楽しい時間でした。長谷川さん、ありがとうごございました。