2017年5月23日(火)の講座
テーマ:リハビリができるまちづくり〜介護保険、理解していますか?〜
講 師:劇団ファットブルーム主宰 高橋宗義さん
日本で、社会の高齢化が問題視されるようになって30〜40年経つといわれます。とても身近で重要な問題なのに、今ひとつピンと来ないという人も多いのではないでしょうか。今日の講座では、超高齢社会のまっただ中で考えておきたい介護のことや、これからの福祉の街づくりについて、日ごろから福祉の仕事にも携わっているという劇団ファットブルーム主宰の高橋宗義さんがお話しくださいました。
まず、毎日のようにテレビや新聞で見聞きする「介護保険」の現状について解説してくれました。
同じ「保険」とついていても、生命保険や自動車の保険などはしっかり説明を聞いて内容を理解して加入し保険金を支払っているのに、介護保険は内容もよくわからず、ただ何となく納めているという人が多いといいます。
急速に進む高齢化に合わせるため、介護保険は2年に一度内容を見直し改定されており、介護保険に密接に関わっている福祉の現場で働く人たちですら、知識が追いつかないこともあるのだとか。
いざ介護保険を利用することになっても、よく分からないまま、担当のケアマネージャー等から言われるがままに利用しているパターンも多いといいます。
一方で、介護保険対象者が急増しているため、受け入れ側もパンク状態。高齢者施設などでは、利用者(高齢者)1人1人に寄り添いたくても寄り添えない、ただケアプランに従って食事やお風呂のケアをしてあげるだけという状態にもなりかねないとか。さらに低賃金重労働といわれる介護職からの離職も増加。財政面でも年々厳しくなり、現場の状況はどんどん悪循環に。
そして今、サービスを受けたくても受けられない、施設に空きがなく待機せざるを得ない、「介護難民」が増えているといいます。
そんな現状を踏まえて、高橋さんが提唱しているのが「PARKコミュニティ構想」です。
市民の憩いの場である「公園」を活用し、「健康」をテーマにした講習会を月1回開催。複雑な福祉サービスや介護保険などの知識を身に付けながら、誰に聞けばいいのかわからない悩み事も相談でき、さまざまな情報交換も。人と接することで高齢者の心と脳の活性化にもつながります。さらに人が集まることで地域の安全も高まり、子ども達も安心して公園で遊べ、幅広い世代間での交流も可能に。高齢者福祉をきっかけに、地域活性につなげようという狙いだといいます。このPARKコミュニティ構想についてまとめた冊子が、近々発行される予定だそうです。重く難しい福祉の問題に、一筋の明るい光を見いだせそうな「PARKコミュニティ構想」。そのためにも、私たち一人一人が福祉に関心を持つことが大切なのかもしれません。
受講生の中には福祉関連の仕事に従事されている方もいたようで、介護保険についての質問も飛び出しました。